治癒する模型/Model+Aid

Lost Homes Project メモ#1

3月25日、神戸大学の卒業式後のお祝いの食事会のムードは、震災のショックの只中ということもあり、沈みがちでした。専ら話題は学部を卒業し大学院に進む卒業生の人達が、今回の震災に対して何ができるだろうか、ということでした。

復興というのは、元に戻す復旧も含まれるけれど、やはり新しい街をつくることになるだろうと。そして新しい街をつくる以上、「昨日よりも、今日よりも、明るい」未来を考えなければなりません。これからはじまって行くであろう復興事業についても、明るい未来を導くものでありたい。被災地の悲しみに寄りそって、乗り越えた先は、明るい明日でありたい。

だからこそ、新しい街を考えるより先に、私たちが失ったものについて、理解しておかなければならないと思いました。そして、その理解を「共有」しておくことが、復興への準備体操のような意味で重要なのではないかと。

2011年3月11日の午後、わずかな時間の内に私たちが失ったものは、とても「多く」、そして「多様」です。私たちも含めていまだに全貌を理解できている人は少ないでしょう。すべてが失われた被災地に立っても、ただ言葉を失う状況の連続です。私たちはそれを理解し、共有し、復興へ向けた真の言葉を取り戻すために、模型を作ろうと思いました。

前を向くために、一度時間を巻き戻し、街を復元する。そしてそれらがすべて失われてしまったことを今一度、理解する。時間がかかってもいい。それは社会にとって治癒のプロセスだと思うのです。

街の復興、人々の復興はそこからしかはじまらないと思いました。

この結論にいたり、何かをはじめるきっかけを得たところで会はお開きとなりました。

槻橋修

 

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2 Responses to 治癒する模型/Model+Aid

  1. 斉藤 力 says:

    槻橋様
    治癒する模型プロジェクトは建築家や専門家の方々が地に足をつけてスタートできるきっかけになると思います。
    被災された方々と共有できる事がいちばん!そう思います。

  2. 槻橋さんのショートエッセイ拝読しました。

    新しい街の再建にあたって、失われた街の基準点(レファレンス・ポイント)として公共施設や公園など「集まる場所」の絶対的または相対的な位置を再生することが古い街の記憶の再生に繋がるのでは、と思います。

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