なぜ再びサマーキャンプか

なぜ再びサマーキャンプか。去年から今年への状況の変化

第一回目、アーキエイド・サマーキャンプ2011が企画されたのは、東日本大震災から3ヶ月後の2011年6月。

東北大学が石巻市と包括協定を結んだことを契機とし半島部に必要な調査を短期間でボランタリーに行うために、建築家のネットワークである<アーキエイド>から大学研究室ベースの精鋭部隊111人が組織され、学生と教員によって牡鹿半島30浜の詳細な調査と丁寧な住民ヒアリング、そしてまとまった資料化が7月末の10日間で行われた。大学ベースで行われた被災地調査と現実を見据えた復興計画案提出の中で、最も組織的かつスピーディであっただけでなく、日本の最先端の建築家と建築家の卵である学生によってしかできない、柔軟さと魅力を備えていた。建築家独自の空間感覚によってリアス式海岸最南端の複雑な地形と文化が読み解かれ、半島の浜独自の文化と生活を活かして構想され、土木や都市計画の図面よりも住民によりそった視点で描かれた、未来の浜の計画図。震災後4ヶ月目、緊急の物資の課題と、仮設住宅への入居が始まったばかりの浜の人にとっては、かすかに見える未来の一端としてとらえられただろうか。
東北大学小野田が当初から「一過性のワークショップからの脱却」を意図して企画したサマーキャンプは、8月の資料とりまとめと市への提出後、2011年10月から新たなフェーズに入った。国土交通省の防災集団移転促進事業(通称:防集)の具体的事業化による高台移転候補地の選定に、東北工業大学福屋をスケジューラとしてサマーキャンプの大学チームも順次参加し、住民意見交換会などにも参加を続けていくことになる。住民意向アンケートのとりまとめについての牡鹿総合支所への協力の他、1大学が1~3ヶ月に1回浜を訪れて意向調査と図面化・模型化により復興計画ヒアリングに加わるペースが半年ほど続き、述べ訪問回数は12大学が半年で計50回以上。牡鹿総合支所・荻浜支所・各行政区長と連携をとって動き、2012年5月からは石巻復興まちづくり検討会半島部ワーキンググループにおいて、復興における半島部特有の課題を共有しながら、浜の復興プランへのアドバイスと模型等による意向調査支援を続けている。

昨年度サマーキャンプ詳細はこちら

また2012年12月末からは<アーキエイド半島支援勉強会>が、筑波大学貝島により月一回のペースで東京で行われている。これは各浜での活動と問題点を大学間で共有する機会であり、複雑で、省庁に分割され建築家にとっては耳慣れない諸事業スキームと復興事業におけるその適用にあたっての共通理解を深める場として、各回で土木・水産など分野の専門家を交えて議論し、お互いの計画案をチェックし合い、計画の練度を高めることに有効に機能している。論点は土木と建築の基準の相違の把握と調整、景観とコミュニティに配慮しつつも安全性と土木的な基準に対応した高台移転住宅地を含めた漁業集落のありかた。

第9回半島支援勉強会/一部公開

5省40事業に分割された、複雑な国の復興交付金事業(防集・津波復興拠点整備事業・災害公営住宅整備事業(国土交通省住宅局)・漁業集落防災機能強化事業(農林水産省水産庁)・環境省・文部科学省など)またその基幹事業と効果促進事業の仕組み、県の災害復旧事業による県道移設や港の復旧、石巻市震災復興部基盤整備課・集団移転対策課・産業部水産課の計画と交付金申請、関連するコンサルタントの動き、そして各総合支所が把握する住民の動きが調整されて、はじめて<まちづくりの具体的なプロセス>が見える。それらのばらばらな情報を分野外の建築家チームが個別に情報を集め理解するのは、通常は不可能に近い。
トップ建築家の空間把握力と設計力をもって浜の未来の姿を描くことと、その実現のプロセスを住民と自治体とともに歩んでゆくこと。その間に横たわる、通常は超えることのできないギャップを超えるための仕組みが<アーキエイド半島支援勉強会>にはある。そこに参加し続けた13大学チームが、一年後に再び結集したのが、二回目の牡鹿半島サマーキャンプである。これらのチームは学生・教員を含めて、建築分野の専門家であるだけでなく、一年間復興事業と向き合い続け、再調査に十分な知識と浜への深い理解、事業間調整への配慮を持った、真の意味でのそれぞれの浜の応援団だろう。

第二回目、本年のサマーキャンプ2012は、一ヶ月遅れ、震災から既に一年半が経過した晩夏の8月24日~26日に、さらに圧縮したスケジュールで行われる。既に浜と顔なじみになった建築家と学生チームが、より具体的な生活像と、そこに至る道筋を真剣に考えるために、前回を上回る規模130人以上で結集し、2日間の集中調査と報告書作成を行う。
L2津波時に安全である高台への住宅地の移転、その下から港まで広がる、悲しみを呼ぶほどに広く瓦礫がきれいに撤去されただけの津波浸水エリアの再生計画、かさ上げも不十分なまま稼働している港の岸壁や作業小屋。
震災一年半後、今から数十年先の将来に向けて何が必要なのか、どのように住んでいくのか、復興事業が待ったなしで進行する現実を見据えながらも、改めて住民の声を聞き取るために向かうチームが各浜に現れる3日間となる。

福屋粧子

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