【レポート】「浜のコミュニティとその関係性」河西孝平

私はサマーキャンプに参加した学生の1人である。自分たちのプレゼンを振り返り、レポートするのは何とも不思議な気持ちだが、ここでは自身の経験と発表の内容を重ね合わせて、より正確な情報を綴ることに努めたい。

9月3日にサマーキャンプ報告会第3弾として、東京工業大学塚本研究室、東洋大学藤村研究室が発表を行なった。塚本研究室は鮫浦湾に面する鮫浦(サメノウラ)・大谷川浜(オオヤガワ)・谷川浜(ヤガワハマ)・祝浜(イワイノハマ)、藤村研究室は小網倉浜(コアミクラハマ)・清水田浜(シミズタハマ)を担当した。報告会はアーキエイド事務局の及川さんのキャンプ概要の紹介からスタートし、塚本研究室、藤村研究室の順で発表した。

塚本研究室の復興計画案は以下にまとめられる。

・港の復旧

・港湾施設の整備

・高台居住地の整備

・漁業機能の集約(谷川浜)

塚本研究室の計画案の特徴は各浜に大胆な建設行為が盛り込まれていることである。鮫浦では海水に浸かった土地に松を植樹して自然公園をつくる。大谷川浜では女川原発から避難するためのトンネルを建設し、鮫ノ浦湾と石巻市街地の交通を活発にする。谷川浜では県漁業協同組合の4支所(鮫浦、前網浜、泊浜、谷川浜)の港を谷川浜に集約する。この漁港集約案は4漁港代表者の間で合意され、市に提出して認められる見通しである。漁港機能集約は復興基本方針に明記され、宮城県の復興計画案では全体の3分の1程度に集約することを検討している。漁業者自らが港集約を決めたのは初めてだと思われる。

藤村研究室の復興計画案は以下にまとめられる。

・港湾施設の整備(桟橋、荷揚場、牡蠣合同処理場)

・高台居住地の整備(復興住宅、集会場)

・港を中心に小屋・公園・畑を整備

・小屋は作業場に限らず、仮眠室、キッチン、キヨスク、販売所などセカンドハウスとして位置づける

・高台に観光者向けの宿泊施設を建設

小網倉浜と清水田浜を合わせて復興計画をまとめている。小網倉浜は被害が大きいのに対して清水田浜は被害が少なく、両浜の避難所や支援物資の拠点は清水田浜に集中している。よって高台居住地・集会所を清水田浜、港湾施設を中心に小屋・公園・畑などを小網倉浜に配置する計画である。また小屋という住民でセルフビルドができる建築を用いることで自立的な復興を促し、高台で暮らす場合は住民のセカンドハウスのような使い方、仕事終わりの休憩所、誰でも利用できるキッチンや加工品を販売するキヨスクなどを想定している。また公園の整備は主婦や子供達の要望だという。住民は震災以前に拠り所としていた場所を失っているのだから、港湾や公園などの公共的なエリアに住宅を延長した生活の一部となる小屋を建設することは説得力のある提案である。

質疑応答では、重いインフラを建設しているが浜を統合することはできないか、コミュニティの規模を考えて計画されているのか、牡鹿半島全体の視点でみると浜の適正な規模が掴めるのではないか、今後の展望や浜をどのようにサポートしていくか等、都市計画的な規模の問題あるいはいくつかの浜を重ねて再検討する必要があることがわかった。浜を統合して計画することは復興の手として最も都合の良い手段だが、浜それぞれに強いコミュニティが存在するのは明白でそれを分解して統合することは難しい。塚本研究室の漁業集約案が実施されると、いくつかの浜は漁業機能を失うことになり、生業と生活が一体となっている住民にとって、失うモノは大きい。一つの浜に魅力的な復興計画を立てることができても、その余波は近隣の浜に影響する。サマーキャンプを終えた研究室は牡鹿半島全体と担当した浜を重ね合わせて自らの提案を再検討し、浜に限らず半島全体の復興を見届ける責務があるのではないだろうか。

河西孝平
アーキエイド関東学生スタッフ
東京工業大学塚本研究室


東洋大学藤村研究室の発表


展示ブースの様子(左は藤村研究室、右は塚本研究室)


ポートフォリオ展示と牡鹿半島模型

アーキエイド・サマーキャンプ 2011 地図 JPG 画像
アーキエイド・サマーキャンプ 2011 地図 JPG 画像

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