【レポート】「共感から共鳴へ」鈴木将夫

3/11まで、東日本大震災チャリティー・フォト・オークション「和 WA PROJECT 2012」が、東京、京橋の「72 gallery」で行われている。
 
個人的に、このプロジェクトに「共感」を覚えたこともあり、2/29に行われたオープニングレセプションに参加してきた。
 
「和 WA PROJECT」とは、ニューヨークを拠点とするフォトグラファーとフォトジャーナリストが、震災の為に何か出来る事はないかと立ち上げた団体である。
 
2011年4月に、ニューヨークで1回目のチャリティーオークションが開催されており、今回の東京でのオークションは2回目となる(期間は2月29日から3月11日まで)。
 
オークション方法は「サイレント・フォト・オークション」形式といって、会場に設置された用紙に希望する作品の入札額を記入し、ボックスに入れるだけ。オークション期間終了後、一番高い入札額を記入された方が作品を落札するというシンプルな仕組みなので、一般的な写真展と同じ感覚で気軽に立ち寄れる。
3月11日に入札が閉め切られ、オークションの全売上は義援金として「アーキエイド」に寄付され、被災地の建物の再建支援のために運用される予定となっている。
 

 
オープニングレセプション当日、東京都心では朝から雪の積もる天候、加えて開場予定時刻の18時直前に隣の解体現場でちょっとした火災が発生し、前面道路が一時封鎖されるなどのハプニングもあった。にもかかわらず、会場には続々と人が集まり熱気が感じられ、ハプニングによる非日常性も手伝ってか、はやくも一体感に包まれつつあった。
 

 
予定通りの19時、プロジェクト発起人を代表し、フォトグラファーの南しずかさんの挨拶が始まった。
 
2011年3月11日、ニューヨークの地で東日本大震災の一報を知り、自分にも何かできることはないだろうかと考えた。急遽帰国し震災の現場に行って、現地の手伝いをする方法や物資を寄付する方法もあったが、フォトグラファーとして写真を手法に支援をできないかと思いたち、1ヶ月後の2011年4月にはチャリティーオークションを開催。その全売上金は「アーキテクチャー・フォー・ヒューマニティ」に寄付した。2回目を日本で開催するにあたって、この収益を有効に震災の復興に役立ててほしいと思い、アーキエイドに寄付することになった。
 
そして、仙台から駆けつけた堀井義博さんから、アーキエイドの組織・理念・活動記録の紹介がプロジェクターを使って行われた。
 

 
中でも特に印象に残ったのは、槻橋修さんによる「失われた街・模型復元プロジェクト」の解説だった。
一瞬で全てが失われた街を白い復元模型として再現する意味、それに着彩しながら添景の追加を行うことの意味を、火事で住居が消失した例えを出して解説された。火事の場合、家屋は失うが周りの風景や街はかろうじて残るから、時間や環境が癒してくれることもあるだろう。しかし今回の震災では一瞬で全て街ごと消えた。記憶も時間軸も全て容赦なく。だからこそ時間をかけて皆で失われた記憶を形にしてゆくことが、個人の記憶の確かな輪郭を取り戻すことにつながり、癒され、次への一歩が踏み出せるのではないだろうか、と。この瞬間、聴衆の反応が「共感」から「共鳴」へ進展したように見えた。
 
復興にあたって建築家が建築物を街を計画することは、誰にとってもわかりやすいだろう。反面「失われた街・模型復元プロジェクト」は、おそらく最も理解されにくいデリケートな活動ではないかと個人的には感じていたが、むしろここから「共感」から「共鳴」へ、そしてまさに「和(wa)」が生まれ、具体的な実行へのきっかけとなったように思う。
 
最後は、㈱シー・エム・エス社長のテラウチマサトさんによる挨拶で無事に終了し、和やかな歓談タイム。
 

 
期間中は、オークション写真の展示のほか、会場に設置されたフラットスクリーン TV で、在本彌生やアンドロニキ・クリストドゥルが撮影した被災地の様子や、Wa Project のメンバーの作品がスライドショー形式で流されている。
 
このレポートやリンク先のサイトを見て、少しでも「共感」されたなら、実際に「72 ギャラリー」に立ち寄ってみてほしいと思う。もしかしたら「共鳴」に進展し、各々の立場から被災地再生へ参加するひとつのきっかけになるかもしれないから。
 
早朝に仙台から東京へやってきた堀井さんは、「共鳴」から生まれたいくつかの「和」を抱えながら、仙台へ向かうため、京橋の雑踏の中をすり抜けるように地下鉄の階段に消えていった。
 
 
鈴木将夫・建築家
 
 
関連リンク
和 WA PROJECT 2012
72 gallery
南しずか
アーキテクチャー・フォー・ヒューマニティ
テラウチマサト

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