アーキエイド、発災1周年のステートメント

3月11日をむかえて

東日本大震災の発災から一年をむかえました。ひときわ寒さの厳しい冬を越えた被災地では、地震と津波の傷跡は今も深く、瓦礫は山と積まれ、発電所の事故も鎮まらぬままです。
しかし、多くの留保を必要とするとはいえ、この一年をかけて着実に、被災地は危機的状態を脱し、人々は平穏な日常を取り戻してきました。そして、その生活環境再建のプロセスに、建築家は微力ながらも一定の役割を果たしてきました。
その反面、被災地の復興がより具体的な段階をむかえるはずの今も、東日本全体の将来を見通すビジョンは明らかではありません。本来なら各地域が協調しつつ着々と進められるべき復興事業も、硬直した制度や地理的風土的複雑さから、孤立と遅ればかりが目についています。
未来に向けた復興にとって、より大きな視座から東日本の復興の現状をとらえ、意志と技術と情報を共有していくプラットフォームが、これまでに増して必要とされているのではないでしょうか。

アーキエイド――東日本大震災における建築家による復興支援ネットワーク――は、発災直後の発足以来、趣旨にご賛同いただいた多くの皆様のご協力を得ながら、さまざまな復興支援活動を続けてまいりました。
それぞれの地域での建築家のアクションを、緊密な情報共有とポジティブなフィードバックによって連帯感をもって結んでいくプラットホームとして有効に機能してきたものと自負しております。

復旧から復興に向かう新たな1年をむかえて、建築家による各地での復興活動を共有する場としてのアーキエイドの活動はますます重要になっています。
アーキエイドはさらに多数多様な活動へと連携を拡げていくことで、東日本の将来のビジョンを醸成する苗床に発展していきたいと考えています。そのためには、アーキエイドを通じた皆様の復興活動情報の共有と、アーキエイドが行なうべき活動への皆様の積極的な助言、提案、そして参加が不可欠です。
多くの賛同者による共有・交換・参加のプロセスを通じて、各地に芽吹いた復興支援活動を結びあわせ豊かに育むネットワークを大きく拡げていくことが、実りある復興を導く一助になると信じます。

アーキエイドは、2011年9月には一般社団法人アーキエイドを設立。専任スタッフをおいて事務局体制を強化し、より安定的な運営体制に移行いたしました。 現在、情報共有と啓発をすすめるべく広報体制の拡充をはかっており、この1年間の成果を概観いただくべく、アニュアルレポート(年次報告書)をまとめています。これは近日中に冊子またはウェブサイトにて見ていただくことが可能になります。
また、国内外からのご寄附により、これまでに約2,200万円の活動資金を得ることができました。この資金をもとに、各地での建築家による復興支援プロジェクトへの補助をはじめています。さらに我々の活動への反響は海外におよびはじめ、多くの経済的支援のご提案をお寄せいただいています。

皆様のご厚志を基盤としつつ、アーキエイドのプラットフォームをこれまで以上に復興に深く寄与しうる新たな段階に進めるためには、あらためて皆様の積極的な参加が必要です。
まずは皆様の復興支援活動についての情報のご提供、そしてアーキエイドの今後の活動に対する御意見をいただければ幸いです。

発災から一年。時間はかかるけれども濃く強い北国の春へむけて、建築家による復興支援ネットワークとして、アーキエイドは尽力してまいります。皆様の一層のお力添えをお願いいたします。

2012年3月11日
アーキエイド――東日本大震災における建築家による復興支援ネットワーク――
実行委員会一同